地域の活性化をめざして〜和歌山県地域経済振興シンポジウム〜
上川二三雄(和歌山県工業技術センター企画調整部長)
我国経済社会は、国際化の進展、技術革新・情報化、経済のソフト化、生活や国民の価値観の多様化に起因するライフサイクルの変化など、21世紀を真近に控えて、まさに時代を画する新たな変化がみられる状況にある。和歌山県においても、地場産業振興のためには、経済・産業構造の変化に対応して数々の対応が必要である。その中で、とりわけ重要なことは、人材の確保と養成ならびに、高度技術の産業化に向けた、新商品・新技術の開発と、その研究開発環境の充実である。和歌山県は、魅力ある地域作りに力を入れ、着々と成果をあげつつある。関西国際空港の開港や、和歌山大学のシステム工学部、近畿大学生物理工学部の新設・充実、工業技術センターの再編整備等が完了した分こそ、魅力ある地域作りの実現への展望が開かれつつある状態である。この時期にあたり平成9年1月14日和歌山市において地域経済振興シンポジウムを開催することができたことは意義深いことである。
本シンポジウムは、和歌山県、自治省、自治総合センターが主催し、近畿通商産業局の後援、(財)和歌山テクノ振興財団の協賛のもとで開催された。
今回、和歌山市の和歌山東急インに、全国各地から講師及びパネラーをお招きして本セミナーを開催したところ約300人の聴講者に集まっていただき充実したシンポジウムをすることができた。これもひとえに自治省関係者、県関係者、各界第一線のパネラーならびに議論に参加して頂いた一般参加者の方々のおかげであると感謝している。本シンポジウムでは、西澤潤一東北大学前総長の基調講演「21世紀への科学技術の展望」を皮切りに、基調講演を受けてのパネルディスカッション「21世紀への科学技術の振興と個性的で魅力ある地域づくり」が行われた。ここでは和歌山県を具体例とした地域産業振興に関する参加者それぞれにとって、地域づくり、企画運営への有益な示唆があったことと思われる。
以下、基調講演及びパネルディスカッションの概要を紹介する。今回のシンポジウムの講演録等については、後日、その内容をまとめた冊子を作成する予定であるがとりあえず著者の一存でまとめさせていただいた。大変密度の高い、多岐にわたったお話しであったが紙面の都合で充分に意を尽くさないところがあるかもしれませんがこの点には、お許し頂いたいと思います。
基調講演
「21世紀への科学技術の展望」
東北大学前総長 西澤潤一
(科学技術基本法について)
わが国にとって、基礎研究に基づく独創的な技術開発を行うことにより競争力を回復することが何より重要である。これに向けて、政府は科学技術基本法及びこれに伴う科学技術基本計画を制定し、研究をバックアップするようになったことは、やや遅すぎたきらいがあるが、非常によろこばしいことである。

(世界が舞台の時代に)
戦後、外国のまねをして作ればいいという考え方があるけれども、国際交通、通信技術の発達により、今や、舞台が地域から世界になりつつある。日本一、世界一の製品が世界の隅々まで到達するようになり、新しい独創的な産業が必要な時代になってきた。これからは、外国の種を